ushikunaomi’s blog

絵を描いています。絵画作品のサイトはこちら→http://ushikunaomi.com/

狩猟と芸能がであうところ

今年の6月の事ですが、馬喰町ART+EATというギャラリーで、浅野友里子さんの個展を見に行き、クロージングイベントの対談「肥沃の森の民俗と食文化」というものも拝聴してきました。

対談のパネリストは、
林のり子 (パテ屋主人/〈食〉研究工房主宰)
石倉敏明(芸術人類学者)
浅野友理子(画家)
画家の浅野さんが一番若くて私と同年代くらい。とっても刺激的でした。浅野さんは生活文化・食文化に対する取材をして、それに基づいて絵を描いている方です。
たまたま広告をみかけて、ひきつけられる絵だったので見に行きました。
対談の中で「狩猟と芸能がであうところ」という言葉がずーっと心に残ってまして。
芸術人類学者の石倉さんのお話のなかで、山伏の話や、酒や麹を作る媒介者である微生物が信仰の対象となっている話、西はかまどの文化・東は囲炉裏の文化・・・とかもう、様々気になる話がありました。
その中で、数ある東北のお盆の行事の一つ「シシ踊り」について。もっと複雑な話ではあったのだと思いますが覚えてる範囲で簡単にすると、シシ踊りの発祥の一説は、鹿の狩りの時に人間が躍る、すると鹿が見とれる、そこを鉄砲などで撃つ、というものではなかったか、ということ。もちろん他説もあるのですが、そこが躍り=芸能と、狩猟の出会うところだった。太古、人間の生活つまり狩猟や採集と芸能(芸術)は一体だった、と。
絵をかいて発表しているので、芸術について常日頃、考えておりますが、ここを忘れちゃいけないなあ、とたまに思います。もちろん今は、生活することと芸術は離れ居ているようにも感じる現代ですが、芸術、特に美術作品は「モノ」を扱います。物質なんです。物質を扱って何か作り上げることって意外と時間がかかるし手間がかかること。作り始めてみて初めて分かります。
絵をかかない人は、心の赴くままにパッと思いついたまま作品が出来上がると思いがちですが、そんなことはない。地道な作業。見る人と作る人にはその感覚の違いがある。
そのことに気づいたのは、趣味で家庭菜園をやってからでした。
たった5坪の菜園ですが、耕すのにこんなに時間と労力がかかる、季節を待たなきゃ作業ができない、これはやってみなきゃ分からないことでした。想像すらできなかったものが、5坪でこんなに大変なんだから、これくらいの量を収穫したかったら、こんな感じかな・・・?という想像がつくようになった。
そして思ったのは、農業は一次産業と言われる。二次産業、三次産業ってありますよね。経済学の詳細な定義はよくわからないで書きますが、芸術文化って一次産業とは違う高次産業だと思いがちでした。あくまで印象ですが。しかし、じつは一次産業なんじゃないかなあ、と思ったんです。物質を扱うという意味と、自然に働きかける、営みであることで。
菜園をしり、大豆から味噌作ったりしていて、それはただの趣味なんですが、こういうことに興味があるんじゃないかなあ。
絵画においても、そこを考えながら制作していきたいです。一気にはできないので、徐々に、徐々に・・・。
林さんのブナ帯の話も大変面白かった。
 
浅野友里子
馬喰町ART+EAT